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マタリキ・昴・勾玉・猿田彦(5)

太平洋リング・オブ・ファイヤーのパラレル・ワールド


日本のヒスイ産地 糸魚川と、NZのグリーンストーン産地 南島の西海岸。その地形がよく似ていることを、前のブログで触れました。

日本の翡翠はジェダイド(硬石)、NZの翡翠はネフライト(軟石)で、見た目は同じようでも、実は全然別の鉱物なのです。それでも、翡翠の生成は、造山活動帯、プレートが別のプレートに潜り込む地殻活動の圧力によルもので、ここにも日本とNZの共通点があります。

 

下の地図は、「太平洋リング・オブ・ファイヤー」(環太平洋火山帯)Wikipediaより。

日本とNZは見事にこの輪に乗っていて、太平洋プレートがそれぞれ日本海プレート、インド・オーストラリア・プレートに沈み込んでいく地殻活動の活発なラインに乗っかっています。

 

この地図で見ても、赤道をはさんで南北にほぼ同じ緯度帯に、細長い弓のようなよく似た形、サイズもほぼ同じ。もちろん、どちらも火山が多く、湧水帯が豊か。地形的にも、日本の北海道とNZの北島はよく似ているし、日本の本州とNZの南島は背骨のようにアルプスが走っています。そのアルプスの造山帯の西側に、どちらも翡翠の産地を持っているのです。

日本とNZ、まるで双子、ミラー・イメージ、パラレル・ワールドです。

 

日本の翡翠の歴史をたどってみましょう。

右の図は、「ものづくりとことだまの国」サイトから。

 

糸魚川で発掘された最古のヒスイ製石器は、約7000年前の縄文時代早期、石斧のような形で、他の石器を形成したり研いだりするのに使ったようです。

このヒスイ工房は、世界最古のものだそうです!!

 

この石斧の形が、マオリのグリーンストーンの「トキ」(マオリ語でtoki =斧)にそっくり。マオリにとって、グリーンストーンのtokiは実際に武器として使ったもので、その雛形をペンダントなどにして身につけてお守りにしています。

 

日本で、「道具」だったヒスイ石器に穴をあけて、「玉」として使い始めたのが、約6000年前、縄文前期。穴を開けることで、紐を通して身につけたり、儀式で何かに下げたりして、宗教的なシンボルの役目の始まり。

それから1000年後、縄文中期には、細長い楕円形の大珠・ころんとした小珠になり、より滑らかな形になっています。

 

いわゆる「勾玉」が大量に作られるようになったのが、約3000年前の縄文後期。糸魚川を中心に、東北〜北海道、近畿、出雲、九州〜沖縄まで、日本中で発掘されていて、縄文文化と交通・貿易網の広がりが非常に広範囲だったことがわかります。

 

 

ヒスイ産地の糸魚川、やがてヒスイ勾玉工房の集中地になる出雲の繋がり。

ヒスイ勾玉は縄文後期から弥生時代を経て、AD7cの古墳時代の終焉=飛鳥時代の始まりと共に、突然、日本から工房も加工品も産地の情報・記録も消えてしまいます。

それまで、ヒスイ原石やヒスイ加工品は貴重な最高級の宝玉であり、神聖な物であったはずです。古墳時代には、朝鮮半島南部に鉄交易の拠点があったことがわかっていて、日本のヒスイが大陸産の鉄との重要な交易物で、朝鮮半島南部(釜山辺り)〜北九州〜出雲〜糸魚川の古代「鉄の道・ヒスイの道」がありました。

「道」とは、この場合、主に海の道ですね。

このヒスイ勾玉の流通に、海流を利用して移動した海洋族の存在が不可欠だったはずです。

 

縄文人と海洋民族、どう繋がるのでしょう?

先祖の地「ハワイキ」(太平洋のどこか、タヒチの辺りと考えられている)から、大カヌー船団で遥々と大航海をして「アオテアロア」(NZのマオリ名=長く白い雲のたなびく土地)に渡ってきたマオリ族は、間違いなく筋金入りの海洋民族です。

どこかで、繋がっている可能性は?

 

「猿田彦」神話が、その鍵だと、私は考えているのです。

そう言われても、この段階ではきっとチンプンカンプンですね。

この古代ミステリー・ツアーの中で、徐々に解き明かして行きます。

今回のブログの最後に、マオリのグリーンストーン彫刻(アクセサリー、お守り)の主なデザインと、それぞれの意味をつけておきます。

画像は、Jade Centreより。

「サークル」……全宇宙、普遍と調和

「釣り針」……強靭さ、幸運、航海の無事

「コル」……生命、平和 (コルはマオリ語で巨大シダの芽)

「クジラの尾」……強靭さ、賢明、調和

「マナイア」……マオリの守り神、空・大地・海の調和

「ティキ」……マオリの守り神、強靭さ、知恵、忠誠

「渦」(ひねり)……永遠、愛、友情

「トキ」(斧)……強靭さ、力

 

これらは革紐などを通して、主にペンダントとして身につけます。

これ以外に、ブレスレットなどのアクセサリーや、置物の彫刻も多様で、基本のデザインにアーティストそれぞれの意匠を凝らした作品があり、NZに旅行する機会には、ぜひじっくりと選んでみてください。

 

ちなみに、マオリのグリーンストーンお守りは、自分で買うものではなく、人から贈られるべきものと言われています。一人旅の時は仕方ないけど、誰かと一緒の旅行の時は、道連れの人に買ってもらいましょう。

 

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