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マタリキ・昴・勾玉・猿田彦(4)

勾玉の謎ーヒスイとポウナムの絆


NZのマオリ族にとって、2つの特別な宝があります。

グリーンストーン=ヒスイ(マオリ語で「ポウナム」)、そしてアワビの貝殻(マオリ語で「パウア」、日本では「青貝螺鈿細工」に使われる美しい貝)。

ポウナムは、様々な意味合いの形に加工して、お守りとして身につけます。

パウアは、木彫り像などで象る時に、魂が最も強く宿る部位である目に嵌め込まれます。

 

この2つのマオリの宝、どちらも古代日本との共通点があるのです。

 

日本のナショナル・ストーンが、翡翠!

この事実、私も最近まで知りませんでした。

今回の「古代日本とマオリ文化のつながり」プレゼンテーションのために資料を検索しているうちに、初めて知りました。

マオリ(NZ産)のグリーンストーンの方がイメージ強くて、日本のグリーンストーンの驚くべき歴史、品質の高さなど、今まで知識不足で、勾玉についての幾らかの知識と漠然としたイメージくらいでした。

 

日本各地でかなりの数が出土している勾玉(まがたま)。

独特の形の意味は明らかなっていないそうですが、魂・霊(たま)を象ったものとも考えられています。

「まが・たま」=曲がった形の宝玉の意味で捕らえられていますが、「ま」は、マオリ語で「Mana」(真実・真なるパワー)に通じます。日本語の「ま」は、言うまでもなく「真」(まこと、真実、本当、正式)。

このマオリ語と日本語の音と意味の共通性、偶然ではないでしょう!

 

そもそも、「まこと」という単語自体、「ま・こと」という組み合わせではないのか? 「こと」「もの」が、抽象的な事柄・具象的なものを相対的に表す概念語で、例えば、神名を表す「尊・命(みこと)」は、「み」自体が神の意味を持ち、「こと」=ある抽象的な事柄を司る神が「み・こと」なのではないか?

「まがたま」の「が」が助詞「の」と同じ働きとすれば、「ま・が・たま」=真なる魂 ・霊という意味にもなります。すると、勾玉の形は、宇宙の真なる力に通じる魂・霊=スピリットのエネルギー体。

(この仮説、我ながら、凄くない!?)

そして、どう見ても、勾玉はマオリのグリーンストーンの装飾品に似ている……

どこで、どう繋がっているのか?

 

勾玉は縄文時代から弥生時代〜古墳時代まで作られていました

こちらの方が、マオリがアオテアロア(NZのマオリ名)に渡って来てグリーンストーンに出会うより、遥か昔です。

 

日本で翡翠の産地は、新潟県糸魚川だけ。

NZでポウナムの産地は、南島のある川の流域だけ。

どちらも、アルプスを背に、西側(日本海、タスマン海)に注ぐ川の流域。地理的に、とても似ています。

ただし、日本のヒスイはジェダイド(硬石)、NZのはネフライト(軟石)で、宝玉としての品質・価値は硬石の方が断然高い。そして、世界中でジェダイドを産出するのは非常に限られた地域のみで、アジアでは日本とミャンマーだけなのだそうです。日本・糸魚川のヒスイ硬玉脈が再発見されるまで、日本にあるヒスイは中国産と考えられていたそうですが、中国で取れるヒスイは軟玉だけ。

これはもう、確かに「翡翠が日本のナショナル・ストーン」であるわけです。

 

でも、私だけでなく、この事実を知らない日本人、多いんじゃないかな?

その理由は、古墳時代(7世紀)に突然、翡翠の宝石たちも、その記録も、日本の歴史から消え去ったからだそうです。その後、1300年にも渡って、日本の翡翠は忘れ去られ、地元の人さえ翡翠の原石があっても漬物石くらいにしか扱っていなかったとか!

えええ〜〜〜〜っ!? 

勿体なさすぎる!

そりゃあ、研磨してない原石は、確かに宝玉とはわからないかも……

 

ロトルアのレインボー・スプリングス(キーウィーバードなどが見られる有名な観光施設)の一角に、どデカい原石が置いてあって、これはグリーンストーンとわかるように表面が滑らかな綺麗な深緑色に磨かれていて、ゲストをガイドしていったときは、必ずその石を撫でて「ご利益・ご利益!」と石の神秘の力にあやかっていました。ちなみに、この原石は、愛知地球博のNZ館で展示されていた石そのものです。

 

NZ南島の西海岸の町ホキティカは、ポウナム産地の拠点で、その街の一角にもドーンと巨大な原石が置いてありました。道路の交差する角に実に無造作にあって、どれだけの値打ちか計り知れない大原石ですが、こんな重い原石をホイと持っていくのは不可能だし、これでいいんだろうな〜。ホキティカの象徴だから。

 

日本の翡翠は、昭和の初期、ある研究者が地元の伝説から古代の翡翠が事実と信じて証明したのがきっかけで、再び日の目をみることになったそうです。

この驚きの日本古代翡翠の物語、次のブログで、縄文文化のすごさと共に、辿って行きます。

 

下の画像は、(左)マオリのグリーンストーン彫刻アクセサリー (中)ロトルアのレインボー・スプリングスにあるグリーンストーン原石  (右)NZ南島ホキティカの街中にあるグリーンストーン原石

 

 

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